小説の墓場

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「ゆいレール」は続くよどこまでも ㉓

壺川駅(つぼがわえき)

奥武山公園から国場川に沿うようにレールがカーブする絶景ポイント。

 

駅のすぐ近くに那覇市中央郵便局がある。

 

駅下から国場川に架かる歩行者専用橋で奥武山公園に入ることができる。

 

駅到着時の車内チャイムは、沖縄民謡「唐船ドーイ」を編曲したものが流れる。

 

 

壺川駅における、武田佐代子(栃木県宇都宮市出身、36歳?)の年齢編

 

「わたくし、衛星放送のご案内しております武田佐代子と……」

 

「結構です。ピッ。プープープー……」

 

 

次。

 

 

「わたくし、衛星放送のご案内……」

 

「ピッ。プープープー」

 

ちょっと休憩。

今日は朝から一件も取れてない。

 

 

パーテーションで仕切られた事務的な机と座り心地の悪いキャスター付きの椅子と

パソコンとヘッドフォンマイクが一人ずつにあてがわれる。

 

パソコン画面に向かって、猫背になりながら、

あれこれと話す人達総勢約五十名がずらりと居並ぶ室内は一種異様な空間でもある。

 

ヘッドフォンマイクが小さいから耳が圧迫されて痛い。

マイク部分のスポンジ状のカバーが臭いのは

いろんな人の唾液がたっぷり染み付いているからだ。

 

コールセンターの仕事ももう二年以上が経った、すっかりベテランだ。

この高時給は沖縄ではなかなかお目にかからない。

時給はなんと一〇〇〇円なのだ。

 

ディスプレイにある通話のボタンをクリックすると、

なんらかのデータベースにある電話番号にランダムに電話がかかる仕組み。

そこで衛星放送の加入の勧誘をするのが仕事。

アウトバウンドと呼ばれている。

簡単に言えば電話の発信業務である。

ミスドの近くの派遣会社を通じてここに派遣された。

 

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とにかく、言葉遣いを間違えたり、会話がうまく運べなかったり、

通話をしていないのがばれると、新しく赴任してきた主任とやらにとやかく注意される。

 

また、この主任がやっかい者で、真面目すぎだし、時間に厳しいし、

目標とか設定するし、

なんだか監視されているみたいで周りのスタッフ達からも不評だ。

辞めちゃう人さえ出てきた。

 

 

いつも「主任は真面目すぎですよ」

 

と言っているのだが、あいかわらず、「くそ」がつくほど真面目に仕事をしている。

 

 

ばれないように私は通話しているふりをする、ばれないように。

 

 

沖縄に来て三年。

三十三歳の春に、この島に逃げるようにやって来た。

ばれたのだ。

 

「いいじゃん。歳ぐらい」