小説の墓場

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「ゆいレール」は続くよどこまでも ㉒

右手には奥武山公園内に建設中の野球場が見える。

なんか完成したら巨人が春季キャンプに使うらしい、ふん! 俺は阪神ファンじゃ。

 

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奥武山公園駅に着く。

車内に軽やかな沖縄民謡が流れる。

こんなん、いっつも流れとったかいな。

 

ホームに降り立つと携帯の着信音である「六甲おろし(*6)」が流れる。

妻からだ。

 

「もしもし、パパ、元気?」息子が先にでた。

 

学校のことや友達のことやテレビ番組のことを早口で一方的にまくしたてた。

やっぱ俺の子やな、遺伝やな。

 

「もしもし、じんじん?」妻だ。

 

「夏休みは一ヶ月ぐらいそっちに行くからね、楽しみにしててや」

思わず口元がゆるむ。

 

「別にそんな長く来んでもええぞ、暑いんやから」

 

「じゃあ、三日ぐらいにしようかな」

 

「えっ!」

 

「うそうそ。じゃあきれいに散髪でもして待っててね」って、

どこ切んねん、切るほど髪の毛あらへんわ、ほんましばいたろか。

 

すっかり元気になり、ニヤニヤしていた俺は駅員さんをとっつかまえて聞いてみた。

 

「この駅で止まるときに流れるあの曲って、なんていう曲なん?」

 

駅員さんは「あぁ、あの曲は『じんじん』と言う曲ですよ」って。

 

「じんじん?」、「じんじん!」って。

 

よっしゃ、明日からもがんばるでぇー。

 

 

 

(*1)社員割引。

(*2)おはよう←ございます(関東) おはよう→ございます(関西)

(*3)ラムサール条約登録の湿地。湖ではない。それにしても名前が……。

(*4)ふりに一度のってから、つっこむ。危険を伴う高等技術である。

(*5)いつも元気、の意。

(*6)阪神タイガースの球団歌。大阪人で歌えない人はいない。

 

 

 

 

次の停車駅は――壺川、壺川駅に到着します――  

 

 

The next station is Tsubogawa  ~♪