小説の墓場

「ゆいレール」は続くよどこまでも ⑮

 

沖縄にはいわゆるコールセンターが多い。

コールセンターとは顧客への電話対応業務を専門に行う事業所だ。

簡単に言えば企業の問い合わせ窓口みたいなものだ。

 

苦情、各種問い合わせ、注文などの電話を受ける(インバウンド)と

新規顧客の開拓業務やマーケティングなどの電話をかける(アウトバウンド)がある。

 

東京や大阪の企業も沖縄にコールセンターを開設しているところが多い。

なぜなら、今の時代はインターネットを使った、いわゆるIP電話で

距離も関係なく通信コストは安く抑えられ、

そして地方であれば人件費も家賃も安く、

なおかつ、地方の雇用にも貢献するため、

地方自治体による優遇措置やなんかで企業誘致も活発であるからだ。

沖縄は雇用情勢が厳しく、働きたい人は多い。

そうなると、やはり時給の相場も低くなる、需給のバランスだ。  

 

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コールセンターのオペレーターの仕事ともなると、

東京では時給一五〇〇円は下らない。

 

しかし沖縄では時給一〇〇〇円で溢れんばかりの応募がある。

 

それもそうだろう、沖縄では未だに時給六〇〇円や六五〇円が

当たり前のようにごろごろしている。

 

時給一〇〇〇円という沖縄では破格の好条件に集まってきたスタッフが

全国各地の家庭に衛星放送の加入のセールスをする。

 

そのセールスがちゃんとできているか目を光らせ、耳をそばだてるのが僕の仕事だ。

 

正社員は僕と所長の二人だけ、あとは派遣社員やアルバイトだ。

ちなみに僕の前任の人は会社を辞めて東京へ帰ったそうだ。 

 

所長も東京からの人で、奥様と娘さんは東京に残したままと言うか、

沖縄行きを断られたらしい。

 

「主任、この人なんか怒っているみたいですけど」と早速嫌な仕事だ。

 

世間では電話をつかっての詐欺が横行しているので、なにかと勘違いされる方は多い。

派遣社員やアルバイトでは処理できない問題が発生すると僕の出番となる。

 

「申し訳ございません。私、主任の沢田孝太郎といいます」

 

と社名、氏名を述べて主旨を丁寧に説明するとなんとか納得される。

 

要するにクレーム処理とスタッフの管理が僕の沖縄での仕事だ。