小説の墓場

「ゆいレール」は続くよどこまでも ⑧

赤嶺駅(あかみねえき)

両側に大きく広がる自衛隊の基地を見ながら駅に到着する。

日本最南端の駅。

 

糸満市豊見城市など、本島南部への入口になっているため、

路線バスやタクシー、自家用車から、

ゆいレールへスムーズな乗り継ぎができるように、交通広場が整備されている。

 

ホーム西端からは、那覇空港滑走路南端付近が遠望できる。

 

駅到着時の車内チャイムは、

沖縄の童謡「花の風車(はなぬかじまやー)」を編曲したものが流れる。

 

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赤嶺駅における、金城はずき(沖縄県南風原町出身、25歳)の覚悟編

花の風車(はなぬかじまやー)が心地よく聞こえる。

この赤嶺駅の到着を知らせる音楽が流れると

肩に背負っていた何かがそろりとずり落ちる。

中吊り広告をチラリと見過ごして、今日も帰って来ることができた、

と心の中でつぶやく。

 

「おかえり、はずき」

 

駅下のロータリーには夫が車で迎えに来てくれている。

結婚して三年、「山城」の姓が「金城」に変わり、

まだ新婚気分の家庭は幸せそのもの。

 

夫とは前職で同僚だった、いわゆる職場結婚

そのまま同じ職場で働き続けてもよかったのだけど、夫はどうしてもそれはいやだと。

もちろんお給料の安い沖縄では夫婦共稼ぎなんてあたりまえ。

すこしは「ぜいたく」もしたいし。

 

そんなこんなでせっかく慣れ親しんだ職場を変えることになった。

それからズシリと何かを背負うことになった。

 

やさしい「うちなーんちゅ(*1)」の夫の運転でスーパーへ寄り、

夕食用の惣菜を買って家へ帰る。

 

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新居は赤嶺駅から車で十五分、開発途中の豊崎で部屋を借りた。

ここは職場が近いのと家賃の安さが気に入ったと夫。

しかし開発途中なので周辺には何もない。

 

コンビニもスーパーもないし駅も遠い、

周辺にあるのは夫の職場でもあり、私の職場でもあった、

普段の生活にはあまり必要のないアウトレット商品を扱うショッピングモールと

新しくできた大型家電店と大型書店があるだけ。

 

家に着くと買ってきた惣菜を「せめても」と皿に移してつつましやかな夕食をとる。

 

このところ疲れきっていて料理を作る気にもなれない。